日本における国際貿易と経済成長

 京都情報大学院大学

 我が国は、材料を輸入し製品を作り、それを他国へ輸出して経済成長する加工貿易が特色と言われている。そこで、輸出入が国にどのように経済成長に貢献してきたか顕著に見られそうな我が国をターゲットに、国際貿易と経済成長の関係を調べた。図1が我が国のGDP成長率、輸出額、輸入額、そして内需の前年比の推移である。

図1 我が国の貿易と内需のGDPとの関係

JETRO,内閣府を元に作成)

 これを見ると、輸出入の推移は多少GDPに関連するものの、日本のGDPは、内需に相関しているといえる。これは、「実は日本は内需型の国で、貿易依存度はそれほど高くはない」ということであろうか。表1は各国の外需依存度を表した表である。 GDP計算上、意味があるのは「純輸出」、つまり輸出から輸入を差し引いた数値になる。上記は商品の輸出入(つまり貿易収支)だけで、海外旅行など のサービスは含んではいないが、日本の商品の純輸出は、GDPに対し1.6%の影響しか与えていないことが解る。これを見ると、確かに日本の貿易依存度は他国と比較してもそれほど高いとは言えないし、そして日本は内需型であるとも言える。

国別外需依存度

日本

アメリカ

イギリス

ドイツ

中国

韓国

シンガポール

GDP

43,664

131,947

23,954

28,943

26,447

8,874

1,319

輸出

6,472

10,366

4,486

11,210

9,689

3,254

2,715

輸入

5,792

18,539

5,556

9,176

7,914

3,093

2,384

貿易(輸出+輸入)

12,264

28,905

10,042

20,386

17,603

6,347

5,099

輸出対GDP比率

14.80%

7.90%

18.70%

38.70%

36.60%

36.70%

205.80%

貿易対GDP比率

28.10%

21.90%

41.90%

70.40%

66.60%

71.50%

386.60%

純輸出対GDP比率

1.60%

-6.20%

-4.50%

7.00%

6.70%

1.80%

25.10%

表1 国別外需依存度

JETROを元に作成)

 しかし、そんな安直に考えるのは間違いであると私は考える。貿易とは比較優位の原則のもとに行われている。であるから輸出入が間接的に内需に影響を与えているはずである。例えば、日本に食料品業界と、自動車業界の二つしかないとする。生産が苦手な食料品業界の輸入が増大し、生産が得意な自動車業界の輸出もともに増大したとする。となると、食料品業界で働く人間が解雇され、自動車業界に就職し、より自動車業界は活性化する。その時の未来のGDPは、「(現在の自動車業界のGDP)−(元の自動車業界のGDP+食料品業界の輸入品激増で失業した人が、自動車業界に再就職し、新しく稼いだGDP集計値)+安価な輸入品の販売による購入者の利益(付加価値換算値)」の分だけ増大する。つまり、貿易は、国内産業を活性化し、GDPに間接的に貢献していると言える。

参考資料

知識ゼロからの経済学入門 (単行本) 弘兼 憲史 (), 高木

資本主義の多様性―比較優位の制度的基礎 (単行本) ピーター・A. ホール (), デヴィッド ソスキス (),

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